情報ハンドブック2020の編集作業、こぼれ話(その1)

 日本カトリック会館の外壁工事は、足場が完成し、亀裂の入ったタイルを交換する作業が行われています。ときおり激しいドリルの音が振動を伴って室内に響き渡り、校正作業に集中できないうえに、何より電話応対に苦労します。

 

 ところで、現在カトリック関連施設の住所録データを収める『カトリック教会情報ハンドブック』の2020年版の発行に向けた編集作業を進めています。

 

 昨年も紹介(2018年6月21日のブログ参照)いたしましたが、各施設の住所等の調査は毎年行っています。今年も各所には昨年のデータを記載した往復はがきを6月20日に送付しており、その返信が続々と寄せられています。約3200件に対し、現時点で80%ほどの回答(返信)をいただいております。皆さまのご協力に感謝いたします。

 

(返信された調査票。書籍の掲載順に並んでいます)

 

 「毎年そんなに変わらんやろう」そう思われるかもしれませんが、施設の閉鎖や移転、さらに電話番号、ファクス番号、市区町村の統廃合による住所表記や番地の変更などは、皆さんの想像以上に多くあるのです。
 なかでも、ミサの時刻の変更は、地方のみならず都市部の教会でも多く実施されています。1人の司祭が複数の教会を巡回するような地では、同時に複数の教会で変更がなされますし、共同宣教司牧(2〜3人の司祭が共同で複数の教会を担当する)が行われているところでも同様の変更が起きます。
 また最近では、近隣の教会との合同ミサを年に数回行うケースや、週によって日本語のミサと外国語のミサが入れ替わるケース、さらには、季節によって特定の週のみミサの時刻が変わるなどスケジュールが複雑化していて、これらの変更は少し厄介です。紙面の都合上、できるかぎり短く表現(記号化)しなければならず、読者に誤解を与えないよう、どう記号化すればいいのか神経を使う作業でもあります。

 

 ミサ時刻の変更事例からは、日本人信徒の減少、司祭召命の減少、外国人信徒の増加といった現象が自ずと浮かび上がってきます。まさに日本の教会の現状が情報ハンドブックの編集作業を複雑にしている――そんなふうにも言えるかもしれません。

 

「その結論、ちょっと強引なんちゃうか?」
「全然、強引ちゃうよ。データはもの言うんやで。それにしても福音宣教について、みんなで考えんとあかんのちゃうかな?」


ただいま進行中

 ご無沙汰いたしております。

 

 ブログを4月24日に更新してから、またもやほったらかしにしてしまいました。

 

 ところで、出版部の部室が入る日本カトリック会館(8階建てと5階建ての2棟)では、5月半ばから10月にかけて外壁補修工事が行われています。今は、足場の組み立て作業が行われていて、足場を建物に固定するアンカー取り付けのため、ドリルの騒音や振動が断続しています。架設作業には1か月半かかるそうです。

 

 

 

(これがアンカー)

 

 そのような環境の中で、出版部が編集作業を進めているのは、使徒的勧告“Christus vivit”の邦訳とペトロ文庫『教皇フランシスコ講話集6』です。

 

 使徒的勧告“Christus vivit”は、昨年10月にバチカンで開催された「若者、信仰そして召命の識別」をテーマとした世界司教代表者会議(シノドス)を受けて、今後の司牧方針とすべく、教皇フランシスコによって今年4月2日に公布されたものです。
 若者向けの文書ということもあって、抽象的な記述があまりなく、内容自体もさほど難しくはありません。しかし、1つの段落中に、若者に直接的な表現で語りかける文と、もう少し一般的な表現の文、あるいは説明的な表現が区切りなく続いていることがあり、それぞれに言い回しを使い分けると、違和感が生じてしまう場合もあって、少々悩まされています。原文のもつ雰囲気を生かしつつ、読んでいて違和感を覚えない訳文の完成を目指し、奮闘しているところです。
 またタイトルについても、「キリストは生きている」「キリストは生きています」などいくつかの案が考えられますが、なにが書籍名として収まりがいいのか、悩ましいところです。

 

 『教皇フランシスコ講話集6』は、一般謁見やお告げの祈り、ミサ説教、訪問先での演説など、2018年中の教皇フランシスコの発言をまとめたものです。
 教皇発言の邦訳のほとんどがすでに当協議会Webサイトで公開されていますが、すべての訳文を全面的に見直したうえで原稿を整理(時系列に編集)し、そして校正を行うという作業になります。

 

 両書とも、8月末の発行を予定しています。


 それにしても足場の架設作業、いくら見ていても飽きません。

 ……支柱と支柱の間に床板と筋交いを設置し、建物にアンカーを取り付ける。職人の手際よい作業で足場は横へ延び、上へと組み上がっていく。足場が高くなると、資材はクレーンで運ばれることになるが、次にどの資材が必要なのかを判断するのは上層にいる職人ではなく、その上層の職人の動きを見て、地上の資材置き場の担当者が判断するのだそうだ。この役割こそ一番重要なのだとか。だから、職人同士の「次、何がいる?」「あれ取ってくれ」などといった会話はほとんど聞かれず、作業が滞ることもない。職人さんの連携プレーはさすがだ……

 

 いかん!このままでは私の仕事が滞ってしまう。


『典礼聖歌(伴奏用)』

 主のご復活おめでとうございます。

 

 教会は今、主のご復活を祝うとともに、復活徹夜祭で洗礼を受けて信者となった新しい仲間を迎え入れたことの喜びに満たされています。

 

 さて、『典礼聖歌(一般用)』の発行をあかし書房よりカトリック中央協議会が引き継ぎ、新装版として今年1月に発売されましたが、このたび、オルガン伴奏用の『典礼聖歌』の発行も当協議会が引き継ぐことになり、『典礼聖歌(伴奏用・新装版)』として5月末に発売される予定です。

 

『典礼聖歌(伴奏用・新装版)』の校正紙

 

 表紙は、色、材質ともに一般用と同じ(本ブログ2018年12月27日参照)で、サイズは前版と変わりません(B5判上製)。内容については、細かな修正が施されただけで、大きな違いはありません。ただ、一般用に新たに収録した「ニケア・コンスタンチノープル信条」と「使徒信条」の新しい旋律については、伴奏用の楽譜が付録として収められています。

 

 オルガン奏者の皆さまの中には、自宅などで練習するために伴奏譜を個人で所有しなければならないかたもおられるでしょう。現在、伴奏譜が品切れであることは出版部も承知しております。鋭意作業を進めておりますので、発行まで今しばらくお待ちください。


『ミサの式次第』

 

 儀式書『ミサ典礼書』(本ブログ2019年2月7日で紹介)の共通の式文(どの日にも必ず唱えられる定型文)部分の抜き刷りである『ミサの式次第』。これは『ミサ典礼書』が1978年に初版が発行されてから重版されることなく品切れとなっているため、その代用として発行された儀式書です。

 

 『ミサ典礼書』は、教会のみならず、修道院、学校など、あらゆる聖堂で用いられています。儀式書の構成上、何度もページを大きく飛ばしたり逆戻りさせたりといった、一般の書籍とは異なる特殊な使い方をする上に、日曜日に複数回のミサが行われる教会などでは頻繁に使用されもします。ですから、発行から40年以上が経過した今では、経年劣化によって傷みが生じるのは当然です。背の接着が取れてしまい、ページがバラバラになったり破れたりしたものに簡単な修繕だけを施して用いているようなこともあるでしょう。私が所属する教会でも、傷みが激しくなったため修繕の方法を検討しています。

 そのような事情から出版部にも『ミサ典礼書』の買い替えを希望する声が寄せられるのですが、重版の予定はないため、問い合わせに対しては『ミサの式次第』と月刊誌『毎日のミサ』の併用を案内しています。
 『ミサの式次第』には、典礼暦の内容に沿った固有の祈願文(日によって変わるもの)が収録されていませんが、『毎日のミサ』を併用することで、その未収録箇所を補うことができるのです。

 また、『毎日のミサ』以外にも、『結婚式』(絶版のため、当協議会webサイトで公開)『葬儀』『聖週間の典礼』『成人のキリスト教入信式』『幼児洗礼式』といった儀式書を併用すれば、教会で行われる通常のミサや典礼行事にほぼ対応できてしまいます。

 

(左から『聖週間の典礼』『成人のキリスト教入信式』『結婚式』

『幼児洗礼式』『葬儀』)

 

 「代用品? 『ミサ典礼書』が使えるんやし、そんなんいらんで」なんて思われるかもしれません。しかし1500ページもある『ミサ典礼書』と違い、『ミサの式次第』はわずか230ページしかないので、薄くて軽く、持ち運びにも便利です。
 ここはあえて出版部員としてではなく、教会で典礼委員会をあずかる役目にある者として言わせていただきますが、家庭集会やキャンプなどに持参するには好都合で、『ミサの式次第』を結構重宝しています。仮に『ミサ典礼書』がまだ十分に使用できているとしても、その代用ではなく補助するものとして、教会で1冊は備えておくとよいと思います。


オンデマンド版ってなんなの?

 2013年9月に発行された『第二バチカン公会議公文書改訂公式訳』が在庫切れとなりました。今後はオンデマンド版にて提供させていただきます。

 

右のものがオンデマンド版。装丁が変更されています

 

「オンデマンド版ってなんなの?」との疑問を持たれるかたも多くいらっしゃると思います。以下にQ&A形式で説明いたします。

 

Q.オンデマンド版ってなんですか。
A.書籍等で通常用いられるオフセット印刷ではなく、オンデマンド印刷という方法を用いることによる呼称です。

 

Q.オフセット印刷とオンデマンド印刷はどのように異なるのですか。
A.オフセット印刷は、印刷の原本となる版に付着したインクをゴムブランケットと呼ばれるゴム布にいったん転写して紙面に印刷します。一方、オンデマンド印刷は、デジタルデータをプリンタで出力するなど、版を用いずに印刷します。

 

Q.どのようなときにオンデマンド印刷を用いるのですか。
A.印刷費用の大半を製版コストが占めるオフセット印刷の場合、1冊あたりの製造単価は、大量に刷れば安価になりますが、小量では高額になります。一方、オンデマンド印刷には製版という工程がないので、大量に製造しても単価は下がらない反面、小ロットでも製造費を抑えることができます。オンデマンド(On-Demand=要求に応じて)の名のとおり、1冊ずつの完全受注生産も不可能ではありません。

 

Q.仕上がりに違いはありますか。
A. オフセット印刷と比較した場合、特色指定ができない、ベタ刷り(ページ一面にインクがのっているもの)では色ムラが生じてしまうなど、多少の難点はありますが、文字中心の書籍の場合、ほとんど遜色はありません。 

 

オンデマンド版(上)とオフセット印刷のもの

(画像をクリックすると拡大されます)

 

 

Q.オンデマンド版ということは、注文を受けてから生産するということですか。また、発注から納品までに時間がかかるということですか。
A.いいえ。小量ながらも在庫を常備いたしますので、今までと変わりありません。

 

Q.定価は変わりますか。
A.はい。本体価格3,000円から3,500円に改定させていただきます。また、ISBN番号も変更になります。

 

価格とISBN番号が変わっています

 

 

Q.『第二バチカン公会議公文書改訂公式訳』の電子書籍版は発行されますか。
A.オンデマンド版(紙版)の発行に併せて電子書籍版も発行します。

 

Q.オンデマンド版と電子書籍版はどのように購入できますか。
A.オンデマンド版は、幣協議会出版部に直接ご注文いただくか、カトリック書店もしくはその他のキリスト教書店にてお求めください。電子書籍版については、web上の各ストアでお求めください。

 

以上、ご参考になれば幸いです。

 

 

 


十字架の道行

 カトリック中央協議会が入る日本カトリック会館には収容人員30人ほどの聖堂があり、その聖堂へと続く廊下には十字架の道行を描いた小さなステンドグラスがあります。

 

 

 十字架の道行とは、イエスが死刑の判決を受けてから、十字架にはりつけにされて殺され、墓に納められるまでの道のりを描いた14点の絵や彫刻をたどりつつ黙想し祈る信心業です。一つ一つの場面は「留(りゅう)」と呼ばれます。
 各留の絵や彫刻には、イエスが十字架を背負わされる様子や背負った十字架の重みに耐えられずに倒れ込む様子、処刑への道を歩むわが子を見守る母マリアやイエスを慕っていた女性たちの嘆く姿、倒れたイエスの身代わりに十字架を担がされた青年の様子など、聖書や古い伝承が伝える出来事が描かれており、聖堂や屋外の教会敷地内などに設置されています。
 エルサレムには古くから、イエスの苦難に思いを馳せるため、十字架を背負って歩まれたイエスの足跡を巡礼者がたどるという習慣があったため、受難の出来事にゆかりのある場所に記念碑や聖堂が建てられるようになりました。やがて、聖地エルサレムまで訪れることのできない人からも、同じように十字架の道行をたどりたいとの声が聞かれるようになり、各地の教会や修道院に各場面を描いた絵画や彫刻が設置されるようになり、現在のような信心業の形式が生まれました。

 

 ちょうど今、教会は灰の水曜日(今年は3月6日)から聖木曜日の「主の晩さんの夕べのミサ」(同4月18日)の直前まで続く回心と犠牲をテーマとする四旬節という季節を過ごしており、この間、教会や修道院では十字架の道行が行われています(すべての教会や修道院で行われているわけではありません)。十字架の道行はいつでも、また一人でも行うことができますが、とくに四旬節中の金曜日には、教会などに集まって一緒に行うことが勧められています。皆さんもぜひ、共同体での十字架の道行に参加してみてはいかがでしょうか。

 

 

 また、カトリック信者でないかたも、お近くのカトリック教会を訪問なさることがありましたら、聖堂に飾られた道行の絵を1点1点ご覧になってみてはいかがでしょう。そして、それらがどのような場面を表しているのか、あるいは信者がどのような祈りをささげているのかをさらにお知りになりたい場合は、当出版部から発行している『十字架の道行』という小冊子が役に立ちます。参考にしていただければ幸いです。

 


直接販売のお知らせ

 出版部営業課からのお知らせです。

 

 来る3月17日(日)、千葉県市原市にある五井教会に出版部員が訪問し、書籍の販売をいたします。

 五井教会では、10時と13時(英語)にミサが行われるため、販売時間は、9時45分〜15時を予定しております。

 

 教皇文書をはじめ、司教団文書、要理書、典礼書、ペトロ文庫など、さまざまな種類の書籍を取り揃え、特別価格にて販売いたします。

 出店時間を長く設けておりますので、書店のように書籍をお手に取ってゆっくり選んでいただけます。

 

 ご近所にお住まいの方は、この機会にぜひお立ち寄りください。

 

直接販売に向けて準備中です。


ペトロ文庫の表紙に思う

 

 「ミサ」「洗礼」「堅信」をテーマに、2017年から2018年にかけて行われた教皇フランシスコの3つの一般謁見連続講話を収録した「ミサ・洗礼・堅信―教皇講話集」が3月末に発売されます。また、紙版とともに電子書籍版も同時発行されます。
 本書では、カトリック信者にとって基本的かつ大切なこれら3つのテーマがわかりやすく解説されています。一度は読んでおきたい一冊であり、典礼係や入門講座を担当する者には必携の書ともいるでしょう。ぜひお買い求めください。(発売日についてはカトリック中央協議会webサイトの出版案内のページをご覧ください。)

 

 

 ところで、ペトロ文庫の表紙カバーに用いている教皇の写真はおもに、オセバトール・ロマーノという教皇庁官報の制作組織が営むフォトサービスから購入しています。

 

 「ミサ・洗礼・堅信―教皇講話集」の表紙は、復活徹夜祭ミサの冒頭に行われる光の祭儀の一場面です。ろうそくの祝福に続いて行われる光の行列の様子でしょう。復活徹夜祭では洗礼式が行われますし、成人洗礼の場合は続けて堅信の秘跡も授けられることもありますので、この書籍のテーマにぴったりです。

 

 それにしてもこの写真、教皇が手に持つ復活のろうそくにともされた火からは、周りを照らす光ととともに、火によってもたらされる暖かさが伝わってきます。
命が軽んじられ、人とのかかわりが希薄なこのご時世、キリストの光が周囲を照らし、あらゆる人の心が温められるよう願ってやみません。

 

 「輝かしく復活したキリストの光が、心のやみを照らしますように」

 

 回心と犠牲をテーマとする四旬節が一昨日に始まったばかりだというのに、このような写真を見ると復活祭が待ち遠しくなりますね。


アイデア次第?

 

 先日、出版部編集課では研修の一環として、東京港区新橋にある「アドミュージアム東京」(カレッタ汐留内)に行ってきました。広告の社会的・文化的価値への理解を深めることを目的として開設された施設で、江戸時代の宣伝の方法や明治から現在に至るまでの日本の広告ポスター、コマーシャル映像が時系列で展示されていて、関連資料も多数あります。また、ちょうどこの日には、ニューヨークに拠点を置く非営利団体ワンクラブが主催するコンテストでの受賞広告作品を紹介する企画展「世界のクリエイティブがやってきた!」が開催されており、海外の広告も見ることができたので、美的センスや発想力とあわせて、考え方や捉え方の日本との違いも感じることができました。
 たとえばポスターの場合、商品や店舗の特徴や良さを紹介するには、デザインはもちろんのこと、扱う題材や素材が衆目を集めるようなものでないと、なかなか宣伝効果は得られません。また、わかりやすさとインパクトはつねに求められるものです。ただ、商品広告は、それを扱う企業のイメージに大きな影響を及ぼすため、悪いイメージとして捉えられないよう配慮するのは当然のことでしょう。
 しかし海外には、「これはありなのか?」と思うような、大胆なコマーシャルが存在します。一例をあげると、アメリカの大手ハンバーガーチェーンの広告では、「直火焼き」をアピールしたいがため、実際に起こった自社店舗の火災写真を用いるという、いわば自虐ネタとも言えるようなことをやっています。店舗で火災事故を起こしたという事実は、企業側にとっては「安全管理が徹底されていない」「危機管理が足りない」「周りに迷惑をかけた」など、負のイメージをもって語られることでしかないはずです。ですから、このような逆転のアイデアを思いつくこと自体がすごいことですが、それを採用した経営者の度胸と柔軟さにも驚かされます。好印象を重視する保守的な日本の風土では、クリエイター側がこのようなアイデアを持ち込んだとしても、なかなか採用までには至らないかもしれません。
 文化や風土によって考え方や受け止め方は異なりますので、広告のあり方も変わってきます。一概に「アイデア」といっても、現地のマーケティング・リサーチを踏まえなければ、宣伝効果どころか反感を与えかねません。ただし、既成概念に囚われているだけでは斬新なアイデアは生まれませんので、そのあたりのバランス感覚も求められるのでしょう。

 

 今回はいろいろ勉強になった。これを機に自分の殻から抜け出してみようか。

 えっ、お前には難しいんちゃうかって? 何いうてんねん、チャレンジや。

 


スピンも重要なアイテムです

 前回紹介したスピンについての話の続き。

 

 スピンの数に明確なルールはありません。文書全体を始めから通読していくような一般的な書籍では通常1本ですが、儀式に用いる書籍には、利用の便にかなうよう、複数取り付けられているものがあります。

 

(『典礼聖歌』を天から見たもの)

 

(『典礼聖歌』の地から見たもの。長いスピンが使われています)

 

 ミサの中で歌う歌が載った『典礼聖歌』には、スピンが4本ついています。ミサでは、入祭の歌(入堂行列の時)、奉納の歌(奉納行列の時)、拝領の歌(聖体拝領の際)など、いくつもの歌が歌われます。ミサの最中にそのつどページを探すようでは、歌い出しに間に合わなくなりますので、その日に歌う歌のページにあらかじめスピンを入れておくことができるよう配慮がなされています。特に、ページを素早く開くことが求められる聖歌隊にとっては、必要不可欠なものでしょう。

 

(『ミサ典礼書』)

 

(『ミサ典礼書』のスピン。ページを素早く開くため、スピンは小口からのぞかせるようにしています)

 

 また、司祭が祭壇で用いる『ミサ典礼書』(儀式書)には紐幅の広いスピンが4本ついています。おおざっぱに説明すると、ミサの式次第は、共通の式文(どの日にも必ず唱えられる定型文)と典礼暦の内容に沿った固有の祈願文(日によって変わるもの)とで成り立っていて、『ミサ典礼書』にはいずれも掲載されています。(ミサには聖書朗読もあり歌も歌われますが、それらは別の書籍にまとめられているため、『ミサ典礼書』には載っていません)。また、共通の式文と固有の祈願文は分けて掲載されているうえに、固有の祈願文の数は多く、ページが大きく飛んだり逆戻りしたりすることが複数回生じるようなページ構成でもあるため、複数あるスピンをそれぞれ該当ページあらかじめ挟んでいなければ、ミサの進行を滞らせてしまうことになってしまいます。4本のスピンは、儀式書のページ構成から必然的に生じるものなのです。

 

 儀式や式典を荘厳に挙行するには、スムーズな進行と、参列者の統一された所作が求められます。儀式書のスピンは、まさにマストアイテムなのです。


| 1/5PAGES | >>