無事に終わって何よりです―裏方の話(後編)

 午後12時半になり、ついに開場。金属探知機によるボディチェック、手荷物検査、本人確認を済ませた参加者が続々と入場してきます。

 

 わたしは最初の招待者を座席に案内すると、そのまま座席で待機して来場者を待ちます。とはいえ、開場直後は招待者の来場はちらほらといった程度。「ここに突っ立っていても暇やな。具体的に待機場所を指示されたわけやないし…。」手持無沙汰だったので、1塁側と3塁側にそれぞれ1箇所ずつ設けられたアリーナ席への入口(内野席と外野席との間)のうち、招待者が入場する1塁側に移動して、一般参加者を誘導しつつ招待者の来場を待つことにしました。

 

 開場30分を過ぎると一般席の半分が埋まります。会場内は、祭壇をバックに記念写真を撮る人や座席で昼食を取る人など、思わず「ここは公園か!」と突っ込みを入れたくなるような雰囲気です。そんな楽しい雰囲気の中、体格の大きい私服姿の警察官が所々に立って人々の動きに目を光らせ、祭壇下に設けられた司祭席では司祭たちが聖体拝領の際の持ち場について説明を受けていました。

 

 

 午後2時半ごろになり、一般参加者への対応が落ち着くと、今度は招待者が続々と入場してきます。案外距離のある入口と座席との間をこれまで以上頻繁に往復します。足元は人工芝の上に敷かれたビニールシート。これが思った以上にふかふかとしていて足に堪えます。

 

 午後3時になると、赤色のカーペットが敷かれた中央通路の横断ができなくなります。それを渡って招待者の席を探しているうちに横断禁止となってしまい、持ち場へ戻るのに迂回しなければならなくなりました。「どうせ迂回せなあかんし、ついでにたばこ1本くらいはええやろ。」そう思ったわたしは、短時間で戻れるバックスクリーン(スコアボード)の裏側ではなく、喫煙ブースのあるバックネット側を経由して戻ることにしました。時計に例えると、10時(3塁側入口)から2時(1塁側入口)の位置に移動するのに12時(バックスクリーン)ではなく6時(バックネット)を経由するのですから、結構な移動距離です。

 

 「どんだけ歩くねん!」と思いながら廊下を進んでいくと、トイレを待つ人が長蛇の列を作っているのに出くわします。できた列の数は4、5本、廊下は人で埋め尽くされていました。列自体がいろんな方向に延びていたため、列と列が交差する箇所もできていて、まさしくカオスでした。

 

 午後3時半から始まる教皇の周回(モービルに乗ってアリーナ席内を巡回する)まで残り30分の間に全員がトイレを済ませることができるのかと心配しながら、満員電車の車内を移動するように進むこと5、6分、なんとか人混みを抜け出すと喫煙ブースにたどり着きます。「ようやく一服」と思いきや、ブースの中はローマンカラーを着けた男性で溢れ、とても入れる状況ではありません。もみくちゃにされながら人混みを抜け出したかと思えば、今度は喫煙ブースが満員。さすがに一服する気持ちもなくなり素通りしました。

 

 午後3時半、アリーナ席への入口が一旦閉ざされると、中央協議会職員はスタッフの役目を解かれ、それぞれスタンド席にある座席に着きます。しかしながら、遅れてくるかたに対応すべく、4人ほどが受付にしばらく残ります。教皇の周回が始まり沸き起こる歓声を聞きながら、遅れて来た招待者を待機場所である外野席上段の立ち席に誘導します。すでに廊下には、あれだけ並んでいたトイレ待ちの人たちの姿はなく、いるのは東京ドームの関係者ばかりです。

 

 教皇の周回が終わると、ミサの開始までわずかな時間を使って、待機していた招待者をアリーナ席に誘導します。残された時間はわずかですから、アリーナ席を小走りで抜け出します。受付に戻ると、汗だくで足はパンパン、喉はカラカラの状態です。「すぐにミサに参加するのは無理やな」というわけで、受付でしばらく休みます。

 

 

 

 その後、しばらく待機するも招待者の来る気配はなく、受付を撤収します。
 ミサが行われているさなかに会場に入ると、ちょうど答唱詩編を独唱するシスターの歌声が響いていました。

 

 それにしても、万歩計を着けていたら結構な数がカウントされていたと思うで!
 万歩計持ってへんけど。